昔と違い、最近は転職をするのは特に珍しいことではなくなってきました。
退職することへのハードルも低くなり、「もうこんな会社辞めてやる!」と思う人も多いかと思います。
しかし、どうせ辞めるのであればボーナスくらいはもらってから辞めたいものですよね。
今回は、ボーナスをもらってから退職するならどのような作戦がいいのかを説明したいと思います。
ボーナスは退職で減額される?
退職とボーナスとの関係で一番気になるところは、やはり、退職の意思でボーナスが減額されたり返金を求められたりすることがあるのか?というところではないでしょうか。
退職時のボーナスの減額については、過去に裁判で次のような判決が出ています。
「賞与額決定要素として従業員の将来の活躍に対する期待を加味することについては一定の合理性が認められる」
(ベネッセコーポレーション事件 東京地裁判決 平成8.6.28)
簡単に説明すると、ボーナスというものは、
①賞与査定期間の働き(過去)
②将来の活躍への期待(未来)
の2つの要素からなります。
上に載せた判決で言っているのは、そのうち「②将来の活躍への期待」の部分を減額することは法的にも問題ない、と言っているということです。
つまり、退職意思によりボーナスを減額されても違法とはならないということです。
そのため、退職の意思を伝えるのはボーナスをもらって以降のほうが良いでしょう。
ただし、上の判決では、ボーナスのうち②の占める割合はせいぜい2割と判断されました。
すなわち、最低でも通常のボーナスのおよそ8割はもらえるということです。
これ以上の減額は違法となります。
「退職するならボーナスはなしだ!」というのは違法ということですね。
ボーナスの次の日に退職することはできる?
ボーナスの次の日に退職することができるかできないか?と言われると、できます。
ただし、ボーナスをもらった次の日に退職しようとするならば、それ以前に仕事の引継ぎなどを行わないといけないですよね。
突然仕事の引継ぎを始めたら、「こいつ辞める気か?」と思われるのは自然なことです。
また法律的には、退職2週間前には退職を申し出なければならないということになっています(民法627条)。
それとは別に、会社の就業規則では「1か月前に退職の申出が必要」などとされている場合もあります。
すなわち、ボーナスの次の日に辞めるということは、その前に退職することが周囲にバレているということです。
そして、辞めることがバレているということは、前述のようにボーナスの減額の可能性があるということです。
そのため、ボーナスの次の日に辞めるのはあまりおすすめはできません。
ボーナスは退職前の有給消化期間でももらえる?
退職前に有給を全消化する人は多いです。
せっかく残っているのですから、使わないのは損ですからね。
しかし、退職前の最後の有給消化期間中にもちゃんとボーナスはもらえるのでしょうか?
そもそもボーナスの支給対象はその会社に在籍している人です。
退職届を出したとはいえ、実際にはまだ会社に在籍をして有給を消化している状態なのですから、ちゃんとボーナスを受け取る権利があります。
ただしこの場合も、ボーナスが減額される可能性は考えておいたほうがいいでしょう。
判例上では予定額の8割になっていても文句は言えません。
まとめ
退職するからといってボーナスがゼロになることはありません。
しかし、減額はされてもおかしくないので、そこは考えておきましょう。
理想としては、ボーナスを受け取ってから退職の意思を伝え、引継ぎを行った後に有給を消化する……といった流れが、ボーナスも満額受け取ることができ、有給も全消化し、かつ円満に退職する流れかと思います。
もちろん、「ボーナスを減額されようが何だろうが、今すぐこのブラック会社を辞めなければ死んでしまう!」というのであれば今すぐにでも辞めたほうがいいでしょう。
そこはあなたが今置かれている状況と相談しながら決めてみてください。