さて、今週も恒例のやが君レビュー。
そろそろ皆さんも毎週金曜日が生きがいになってきましたよね?
今回もあらすじとかは省略して、ただひたすらに感想を垂れ流すだけの記事になります。
いつものごとく当該話数の原作ネタバレを含みますのでご注意を。
原作内容との変更点
好きなアジサイの色を聞くシーン
今回気になったポイントとして、原作との内容の変更点があります。
原作読者なら一番わかりやすいのは、好きなアジサイの色を聞くシーンでしょう。
あれ、原作にはまったく登場しませんからね。
「降り籠める」の雨宿りシーンの背景に一応アジサイが映っていますが、それだけです。
では、わざわざ新たに追加されたこのアジサイのシーンについて考察していきましょう。
好きなアジサイの色を聞くシーンは、このアニメ第8話中に3回出てきます。
1回目はアバン「初恋はいらない」の最後。
燈子から沙弥香に好きなアジサイの色を聞きます。
2回目はAパート「交点」の最後。
沙弥香から侑に好きなアジサイの色を聞きます。
そして最後3回目はBパート「降り籠める」の最後。
侑から燈子に好きなアジサイの色を聞きます。
3つのシーンそれぞれで、すべて違う人が違う人に向けて問いかけているんですね。
燈子→沙弥香→侑→燈子……と、3すくみのような構造になっています。
この問いかけの向きそのものには、今のところ特に深い意味はないと考えています。
燈子の質問を思い出した沙弥香が侑に問いかけ、その質問を思い出した侑が燈子に問いかけた、という感じでしょうか。
ただ、これは話の流れとしては非常に美しいと思います。
ところで、この質問には誰ひとりとして明確な答えを返していません。
なので、1回見たときはこのシーンに何の意味があるのかは分からず、話の美しさと繋ぎのためなのかと思っていました。
ですが改めて見返してみると気づくことがあります。
それは、すべてのシーンで映っているアジサイの色の組み合わせが違うことです。
もう一度見返してみましょう。
1回目は青と白、2回目は白とピンク、そして3回目はピンクと青です。
さて、何か気づかないでしょうか……?
そうです。このカットにいる登場人物と同じように、アジサイの色の組み合わせも変化しているということです。
整理してみましょう。
1回目は「燈子と沙弥香」で「青と白」。
2回目は「沙弥香と侑」で「白とピンク」。
3回目は「侑と燈子」で「ピンクと白」です。
すると、登場人物とアジサイの色との対応が取れますね。
「燈子=青」、「沙弥香=白」、「侑=ピンク」です。
イメージカラーとしても納得いくものですし、恐らくこれが彼女たちの好きなアジサイの色なのでしょう。
ここからもう一息考察します。
アジサイのそれぞれの花言葉に着目してみましょう。
すると、「青=あなたは美しいが冷淡だ」「白=寛容」「ピンク=元気な女性」という意味があることが分かります。
すなわち、これは好きなアジサイの色を聞くシーンでもあり、一方でその人物の内面を改めて表現しているというシーンでもあるということです。
ちなみに、青いアジサイには、「あなたは美しいが冷淡だ」以外にも花言葉があります。
例えば、「冷淡、無情、高慢、辛抱強い愛情」という意味もあります。
さて、アニメ第2話Bパート「初恋申請」を見たときの感情を覚えていますか?
このときの燈子を見て、「辛抱強い愛情」を感じた人もいるのではないでしょうか?
ですがあの6話を見た後だと印象も変わります。
七海燈子は、青いアジサイの花言葉のように二面性を持つ女性であることが分かるのではないでしょうか?
その他の変更点
Bパート「降り籠める」で、侑が傘を忘れて怜ちゃんに傘を届けてもらおうとするシーン。
原作だと「デートの邪魔しちゃ悪いから」という理由で断りますが、アニメではさらに「友達に貸してもらうからいい」ともう一芝居打ちます。
ヒロくんのコメント「友達多そうだよね」に対して、怜ちゃんは「人付き合いは上手いかもね、生徒会入っちゃったし」と返します。
このあたりの会話は、3巻「その頃のお姉ちゃん」のものですが、今回の話に組み込まれています。
ここでの変更点としては、侑が生徒会に入ったということが、優等生の象徴から社交性の象徴に変わっているということです。
まあ、これはサイドストーリーを本編に上手く絡めるための内容変更であり、ここに深い意味があるとは思っていませんが……。
ほかの変更点としては、侑が貸し傘を借りようとするシーンの張り紙ですかね。
張り紙にはもともとは「生徒会」の記述はなかったのですが、アニメでは生徒会の張り紙ということになっています。
それを見たことで、燈子先輩に電話をかけようかどうしようか迷うシーンが入っています。
個人的にはこれはなかなか美しい改変だと思っていて、ここで燈子に電話をかけようかどうか迷うシーンを入れることで、その後の燈子の「さっき一回電話したんだけど話し中で……」という発言が深くなると思うんですよね。
つまり、ほぼ同じタイミングで、侑と燈子はお互いに相手に電話をかけようとしていたわけですから。
演出について
今回、演出上で気になるポイントがありました。
それはこれ。
「その嬉しいって、どういう意味?」
これ、滲み出るモノローグに聞こえました……?
口を映していないので、普通に声に出しているように聞こえました。
このシーンは、踏み込んではいけないところまで踏み込んでしまったと感じた侑が、慌てて言い訳を口走るシーンだと思っているので、アニメからだとちょっと受ける印象が変わってくるかなあと思いました。
あと、穏やかできれいなBGMがずっと続いているのもちょっと違和感。
このシーンは自分の中では完全に無音なんですよね。
というわけで、このシーンはちょっと想像とは異なる演出でしたね……。
しかし、ここに限らず、この「やがて君になる」という漫画は、読んでいると音が消えたように錯覚するシーンが多いんですよねえ……。
仲谷先生の描写力。
まとめ
今回も最高でしたね……!
ちなみに、恐らく次回は私が原作3巻で一番好きな回が来ると思っているので、来週も楽しみです……!